ロイシンは主要BCAAで、BCAAの中で最も効果が得られますことが示されています。ロイシンの単独補給が十分有効であることが示されており、BCAAのミックスよりも経済的な場合が多いですが、味が苦いことに注意が必要です。
コンテンツ
概要
重要な効果・情報
ロイシンは、3つの分枝鎖アミノ酸 の1つで、主にロイシンによる筋肉増強作用を始めとする効果のために、主要なアミノ酸と呼ばれることもあります。ロイシンは、mTORとして知られているタンパク質の活性化因子であり、S6Kを介して筋肉タンパク質合成を促進します。他の2つのBCAAもmTORの活性化に関与していますが、ロイシンよりもかなり活性が低いため、5gのBCAAの混合物よりも5gのロイシンの方が有効なことが示されています。ロイシンの代謝産物のHMBも、筋肉のタンパク質合成を促進する目的ではロイシンよりも効果が低いですが、筋肉の損傷からリーンマス(除脂肪体重)を維持するという目的ではロイシンよりも有効だと考えられています。ロイシンは単離されたアミノ酸としての研究が進んでいますが、他の2つのBCAAの成分であるイソロイシンやバリンはあまり研究が進んでおらず、BCAAの混合物として考えるよりも単独の物質として注目されています。
ロイシンを評価する研究では、ロイシンを食事の補助として補給する際の筋肉のタンパク質合成についてのものが大半を占めており、研究で用いられた食事を摂取した後、タンパク質合成が増加するという点についてはかなり信頼性の高いエビデンスが揃っています。また、ロイシンは、低タンパク質食を摂取している人(例: ベジタリアン)や筋肉のタンパク質合成が低下しやすい高齢者において筋肉の増強を促進する効果が高いようです。ロイシンのグルコースとの相互作用は、現時点ではまだ結論が出ていませんが、ロイシンが、血糖値を降下させる特性(膵臓からインスリンを放出させたり、インスリンなしで細胞のグルコースの取り込みに直接作用する可能性があります)と同時に反対の作用(S6Kを刺激することで、インスリンに刺激されたグルコースの取り込みを阻害する)特性を持っている可能性があり、研究が進められています。細胞培養試験では、ロイシンはグルコースの取り込みを最大45分間刺激した後、その作用の抑制をしますが、生体での実験では、短期間にロイシンを摂取しても特段の変化が見られなかったと報告されています。まだ予備的な実験段階のエビデンスですが、ロイシンが糖尿病のリハビリとしての効果がある可能性があるという報告もあります。
イソロイシンの方が強力な血糖降下作用が示されています。
注意事項
服用方法
推奨用量、有効量、その他の詳細
ロイシンは短期使用で2000-5000mgの範囲で補給されることが多いです。断食時や、低タンパク質(またはロイシンの少ないタンパク質)の食事と一緒に補給されることもあります。
効果まとめ表
効果まとめ表は動物や試験管内の実験ではなく、経口服用による人体での反応を科学的に研究したデータを基にどのような効果がどの程度あるのかをまとめたものです。
レベル | 研究の質と量
?
信頼性の高い研究データの量. 信頼性の高いデータが多ければ多いほど研究結果の信頼性が高くなります. |
---|---|
二重盲検臨床試験が繰り返し行われ確実性の高い研究が実施されています。 | |
2つ以上のプラセボ効果を排除した二重盲検試験を含む複数の研究が実施されています。 | |
二重盲検試験が1件または複数コホート試験が実施されています。 | |
上記に満たない研究内容または観察研究のみが報告されています。 |
研究の質と量
?
信頼性の高い研究データの量. 信頼性の高いデータが多ければ多いほど研究結果の信頼性が高くなります. |
研究対象 | 効果の大きさ
?
それぞれの研究対象に対する効果の方向性と大きさ. 対象項目を増加させるもの、低下させるもの、作用しないものを示しています. |
研究の整合性
?
科学的な研究でも常に結果が一致するとは限りません. この評価が高いほど対象項目に関する科学的な研究結果が一致しており、整合性が取れています. |
摘要 |
---|---|---|---|---|
脂肪質量 | – | – 研究結果を見る | ||
リーンマス | – | – 研究結果を見る | ||
肝臓酵素 | – | – 研究結果を見る | ||
筋力 | 中程度 | – 研究結果を見る | 1件の二重盲検で、除脂肪体重や脂肪量は変化せず、筋力が向上したことが示されています | |
自覚的運動強度 | – | – 研究結果を見る |