オキシラセタム[Oxiracetam, ISF-2522]は、ピラセタムアニラセタムなどと同様のラセタムに分類される合成化合物の一つです。オキシラセタムは、興奮性神経伝達物質の放出を増強するようであり、記憶形成や加齢による認知症の改善に効果が示されていますが、健康な人間の若者を対象にした研究はありません。

概要

重要な効果・情報

オキシラセタムは、ラセタムの1種です。ピラセタムにヒドロキシル基が一つついた構造をしています。学生の学習効果を高めたり、認知機能の低下を防ぐなど、向知性サプリメントとして使用されています。他のラセタム化合物と同様に食物や自然界には存在しない合成物質です。現時点でのオキシラセタムのエビデンスを見ると、老化プロセス中に起こる認知症に伴う器質性の認知低下の速度を低下させる効果を裏付ける複数の人間のエビデンスがあります。しかし、アルツハイマー病患者を対象にした研究では、オキシラセタムの補給は有意な効果はありませんでした。

認知機能の低下を軽減させる上で、α-GPCと同程度の効力を持ち、ピラセタムよりも若干強力であることが示されています。現在のところ、認知機能障害を伴わない若年者の記憶形成を増強する効果を調べた研究はなく、科学的なエビデンスはありませんが、動物でのエビデンスでは、オキシラセタムは、抗コリン作用や抗グルタミン作用を持つ化合物によって誘発される記憶喪失を確実かつ強力に防止することが示されており、認知機能障害のない健康な若年ラットやマウスの記憶形成が増加することも示唆されており、効果が現れるまでに少なくとも5日間の服用が必要であることが示されています。オキシラセタムは、ピラセタムやアニラセタムなどとメカニズムや効力が類似している陽性のAMPAモジュレーターで、活性化されて休止していないニューロンから放出されるグルタミン酸、アセチルコリン、D-アスパラギン酸を増加させる作用が示唆されています。グルタミン酸の放出を増強し、シグナル伝達を受ける受容体を調節する作用によって、神経細胞代謝の活性と記憶形成が増加すると考えられています。

 

適応・効果

効果まとめ

効果まとめ表

効果まとめ表は動物や試験管内の実験ではなく、経口服用による人体での反応を科学的に研究したデータを基にどのような効果がどの程度あるのかをまとめたものです。

 

レベル 研究の質と量

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信頼性の高い研究データの量. 信頼性の高いデータが多ければ多いほど研究結果の信頼性が高くなります.

二重盲検臨床試験が繰り返し行われ確実性の高い研究が実施されています。
2つ以上のプラセボ効果を排除した二重盲検試験を含む複数の研究が実施されています。
二重盲検試験が1件または複数コホート試験が実施されています。
上記に満たない研究内容または観察研究のみが報告されています。
研究の質と量

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信頼性の高い研究データの量. 信頼性の高いデータが多ければ多いほど研究結果の信頼性が高くなります.

研究対象 効果の大きさ

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それぞれの研究対象に対する効果の方向性と大きさ. 対象項目を増加させるもの、低下させるもの、作用しないものを示しています.

研究の整合性

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科学的な研究でも常に結果が一致するとは限りません. この評価が高いほど対象項目に関する科学的な研究結果が一致しており、整合性が取れています.

摘要
認知機能低下 小さい 非常に高い 5件の研究結果を見る
痴呆や器質性脳老化による認知低下や関連症状を確実に低減させるようです。特に1,200mgを超える用量では発話スキルに対する効果が顕著です。
記憶力 小さい 非常に高い 2件の研究結果を見る
健康な青少年の記憶の改善するメカニズムと動物でのエビデンスはありますが、現時点ではヒトでの研究はすべて認知機能低下患者を対象にしています。
生活の質 小さい 研究結果を見る
認知症患者を対象にした研究で、主観的な生活の質の有意な改善が見られました。
言葉の流暢さ 小さい 非常に高い 2件の研究結果を見る
認知力に関する多くの要素に効果があり、認知症患者の言葉の流暢さの向上も示されています。
高齢者または負傷者の機能 研究結果を見る
オキシラセタムを投与された認知症患者の機能には有意な効果は見られませんでした。
アルツハイマー病の症状 研究結果を見る
器質性認知機能低下ではなくアルツハイマー病患者を調べた研究では、補給による効果は見られませんでした。

副作用

オキシラセタムは刺激作用を持つことが分かっていますが、どのような副作用が起こるかは十分には分かっていません。

服用方法

推奨用量、有効量、その他の詳細

オキシラセタムの補給は1日に1,200〜2,400mgで1回あたり400mgまたは800mgなどを2〜3回に分割されて行われる傾向があります。オキシラセタムを食事と一緒に摂取した方が良いかは十分には研究されていませんが、学習活動の約1時間前に服用されることが多いようです。

科学的根拠・参考文献