ホーニーゴートウィード(淫羊霍、イカリソウ[Epimedium])は、伝統的な中国医学で媚薬や勃起剤として使用されてきました。動物を使った研究ではテストステロンの増加が見られますが、人間でのエビデンスはありません。女性ではエストロゲン様の作用をしたり、認知力を改善したり、心臓の健康を守る可能性が示唆されています。

概要

重要な効果・情報

ホーニーゴートウィードは、漢方薬の「淫羊霍」として古くから主に葉が媚薬や性的欲求の改善のために利用されてきており、テストステロンブースターとして宣伝されているハーブです。中国医学では15種類のホーニーゴートウィードが「淫羊霍」として知られています。また、有効成分のイカリン(Icariin)は、プレニル化フラボノイド化合物として知られており、ホーニーゴートウィードの中には鎮痛効果を持つものがあることが示唆されています。 1件のラットの研究で、かなりの高用量でテストステロンのレベルが上昇したことが示されており、中程度の用量で骨の健康に有益と示されています。イカリンは女性のテストステロンを増加させる作用は示されていませんが、それ以外の含有化合物のイカリチン(Icaritin)やデスメチルイカリチン(Desmethylicaritin)が閉経後の女性においてエストロゲンのような作用をし、骨密度の減少を軽減する作用が示唆されています。ホーニーゴートウィードが男性にも女性にも媚薬として作用し、それぞれの性別に特異的なホルモンを増加させる作用があることが示唆されています。

適応・効果

適応情報

エビデンス不足

効果まとめ

効果まとめ表

効果まとめ表は動物や試験管内の実験ではなく、経口服用による人体での反応を科学的に研究したデータを基にどのような効果がどの程度あるのかをまとめたものです。

レベル 研究の質と量
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信頼性の高い研究データの量. 信頼性の高いデータが多ければ多いほど研究結果の信頼性が高くなります.

二重盲検臨床試験が繰り返し行われ確実性の高い研究が実施されています。
2つ以上のプラセボ効果を排除した二重盲検試験を含む複数の研究が実施されています。
二重盲検試験が1件または複数コホート試験が実施されています。
上記に満たない研究内容または観察研究のみが報告されています。
研究の質と量
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信頼性の高い研究データの量. 信頼性の高いデータが多ければ多いほど研究結果の信頼性が高くなります.

研究対象 効果の大きさ
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それぞれの研究対象に対する効果の方向性と大きさ. 対象項目を増加させるもの、低下させるもの、作用しないものを示しています.

研究の整合性
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科学的な研究でも常に結果が一致するとは限りません. この評価が高いほど対象項目に関する科学的な研究結果が一致しており、整合性が取れています.

摘要
骨密度 小さい 研究結果を見る
2年以上のイカリインの補給で、骨密度の減少の軽減がみられましたが、それほど顕著ではありませんでした。
エストロゲン 非常に高い 2件の研究結果を見る
血清エストロゲンレベルに有意な影響は見られませんでした。

 

副作用

副作用と安全性

ホーニーゴートウィードの抽出物は、適切に経口摂取された場合は安全です。フィトエストロゲンを含むホーニーゴートウィードの抽出物は、2年間服用しても特に安全上の問題は起こりませんでした。また、イカリインを含むホーニーゴートウィードの抽出物は、6ヶ月服用しても安全上の問題は起こりませんでした。

しかし、ホーニーゴートウィードのうちの何種類かは、長期間または高用量で服用する場合、安全でない可能性があります。長期的に摂取すると、めまい、嘔吐、口の乾燥、渇き、鼻血などの症状が出ることがあります。また、高用量で摂取すると、けいれんや重度の呼吸の問題を引き起こす可能性があります。

また、性的機能強化のために使用される市販の製品で、ホーニーゴートウィードを服用した男性に、心拍のリズムの問題が報告されており、不整脈を引き起こす可能性があります。また、肝臓毒性に関する報告が1例あります。しかし、これらの副作用の科学的な因果関係は検証されていません。また、この製品には複数の成分が含まれているため、このような作用がホーニーゴートウィードに由来する成分によって引き起こされたかどうかは不明です。

注意と警告

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妊娠と授乳: ホーニーゴートウィードは、妊娠中に経口摂取すると発達中の胎児を傷つけるなど、安全でない可能性があるため、服用を避けてください。 授乳中のホーニーゴートウィードの服用の安全性については十分に分かっていません。 安全のため、使用を控えましょう。

出血障害: ホーニーゴートウィードは血液の凝固を遅らせ出血のリスクを高める可能性があります。

ホルモン感受性の癌: ホーニーゴートウィードはエストロゲンのように作用し、女性のエストロゲンレベルを上昇させる可能性があるため、乳癌や子宮癌などのエストロゲン感受性の症状を悪化させる可能性があります。

低血圧: ホーニーゴートウィードは血圧を下げる可能性があります。 すでに低血圧の人が使用すると、血圧が低くなりすぎて、失神のリスクが増加する可能性があります。

手術: ホーニーゴートウィードは血液の凝固を遅らせ、手術中の出血のリスクを高める可能性があります。 手術の少なくとも2週間前に、ホーニーゴートウィードの服用を中止してください。

注意事項

相互作用

中程度の相互作用

下記の組み合わせに注意してください。

  • 高血圧治療薬(抗高血圧薬)

    ホーニーゴートウィードは血圧を下げる可能性があります。高血圧治療薬には、カプトプリル、エナラプリル、ロサルタン、バルサルタン、ジルチアゼ、アムロジピン、ヒドロクロロチアジド、フロセミドなどがあります。

  • 血液凝固を遅らせる薬(抗凝固剤/抗血小板剤)

    ホーニーゴートウィードは血液の凝固を遅らせる可能性があります。血液凝固を遅らせる薬には、アスピリン、クロピドグレル、ジクロフェナク、イブプロフェン、ナプロキセン、ダルテパリン、エノキサパリン、ヘパリン、ワルファリンなどがあります。

その他の名称

  • 淫羊霍、イカリソウ、エピデミウム 、ハルバエピムディ( Herba Epimdii) 、 イカリン 、インヨウカク、フェアリーウィングス、ローディラムハーブ

混同しやすいもの

  • イカリン(有効成分)

注意点

  • イカリンは非刺激性です。
  • イカリインは、男性において勃起改善作用を持ち、両方の性別において性欲増進作用があるようです。

分類カテゴリー

良い組み合わせ

確認事項

服用方法

推奨用量、有効量、その他の詳細

ラットのテストステロンの増大効果は、ホーニーゴートウィード200mg/kg(イカリインの40%の抽出物で80mg/kg)の服用量で行われました。この場合、ヒトの摂取量に換算すると、68kgの人でイカリイン900mgとなります。

また、低用量のイカリイン(1〜10mg / kg)を使用する研究では、68kgの人で11-110mgのイカリインの摂取に換算されます。

閉経後の女性および骨の健康に関するヒトの研究では、毎日60mgのイカリインというかなり低い用量でも効果があることが示唆されています。

 

科学的根拠・参考文献