ヨヒンビンは脂肪燃焼や性的興奮などの媚薬効果、EDなどの性的問題への効果が示唆されている化合物です。日本では塩酸ヨヒンビンは処方薬として承認されています。効果が示唆されている一方で、不安を引き起こす可能性があり、多くの医薬品と悪い相互作用を起こすため十分な注意が必要です。また、サプリメントなどの表示が実際の含有量と一致しないなどの報告もあり十分な注意が必要です。

概要

重要な効果・情報

ヨヒンベやその有効成分のヨヒンビンは、空腹時に摂取することで脂肪の量が減少することが示唆されている化合物です。塩酸ヨヒンビンは日本や米国などでは処方薬として承認されています。また勃起不全(ED)、陰茎や膣への血流、陰茎の太さ、起立性低血圧、神経の活性化、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)による性的副作用、などへの効果が示されています。

それ以外にも、性的興奮の上昇などの媚薬効果、運動能力、疲労、胸痛、高血圧、糖尿病性神経痛、などへの効果についても効果が示唆されています。ヨヒンビンは、一般的に精神刺激作用を持つため、不安などの症状を改善する可能性がありますが、効果がなかったり、悪化する可能性があることも示唆されているため、十分な注意が必要です。

ヨヒンビンは体内のアドレナリンレベルを上昇させるだけでなく、脂肪燃焼を抑制する脂肪細胞の調節プロセスを阻害することで作用するようです。ヨヒンビンの効果は食物と摂取すると部分的に無効になる可能性があるため、通常空腹時に服用されます。

海外などで販売されるサプリメントには、ヨヒンビンの含有量が記載されていなかったり、記載されている量が含まれていなかったり、合成した塩酸ヨヒンビンを有効成分として添加しているものもあります。

適応・効果

適応情報

エビデンス不足

  • 不安障害:ヨヒンベの有効成分のヨヒンビンの恐怖症に関連する不安を治療に対する有効性についての複数のエビデンスがあります。 いくつかの研究は、治療と組み合わせても不安を改善しないことを示唆しています。 しかし、他の研究では、特定の恐怖症の症状を減少させることが示唆されています。不安サプリ:不安
  • うつ状態(うつ病): 初期の研究は、ヨヒンベの有効成分のヨヒンビンを毎日10日間服用してもうつ症状が改善されないことを示唆しています。うつ病
  • 勃起不全(ED): ヨヒンベの有効成分であるヨヒンビンがEDの治療に役立つ可能性があるという証拠があります。 ハーブ愛好者の中には、ヨヒンベの樹皮に含まれる成分がヨヒンビンのみよりも効果的であると主張していますが、現在のところヨヒンベの樹皮に関する科学的な研究は行われていません。
  • 運動能力向上: 初期の研究では、ヨヒンベの有効成分のヨヒンビンを21日間摂取しても、運動能力の向上や筋肉量の増加は見られませんでした。筋肉サプリ:
  • 低血圧症(起立性低血圧症):  初期の研究では、ヨヒンベの有効成分であるヨヒンビンの服用が低血圧による頭痛を持つ人の血圧を上昇することを示唆しています。 しかし、他の初期研究では、血圧を改善しないことが示唆されています。血圧サプリ:血圧
  • 選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)による性機能低下: ヨヒンベの有効成分のヨヒンビンは、うつ病に使用される薬物による性的問題を改善することができるという複数のエビデンスがあります。 しかしながら、この利益は、ヨヒンベの樹皮の効果については不明です。うつ病
  • 口内乾燥(口乾ドライマウス): 初期の研究では、ヨヒンベの有効成分のヨヒンビンを服用すると、抗うつ薬を服用している人の口渇の症状が改善されることが示唆されています。 樹皮の影響については不明です。
  • 疲労感:
  • 胸痛:
  • 糖尿病性合併症:

効果まとめ

効果まとめ表

効果まとめ表は動物や試験管内の実験ではなく、経口服用による人体での反応を科学的に研究したデータを基にどのような効果がどの程度あるのかをまとめたものです。

 

レベル 研究の質と量

?

信頼性の高い研究データの量. 信頼性の高いデータが多ければ多いほど研究結果の信頼性が高くなります.

二重盲検臨床試験が繰り返し行われ確実性の高い研究が実施されています。
2つ以上のプラセボ効果を排除した二重盲検試験を含む複数の研究が実施されています。
二重盲検試験が1件または複数コホート試験が実施されています。
上記に満たない研究内容または観察研究のみが報告されています。
研究の質と量

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信頼性の高い研究データの量. 信頼性の高いデータが多ければ多いほど研究結果の信頼性が高くなります.

研究対象 効果の大きさ

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それぞれの研究対象に対する効果の方向性と大きさ. 対象項目を増加させるもの、低下させるもの、作用しないものを示しています.

研究の整合性

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科学的な研究でも常に結果が一致するとは限りません. この評価が高いほど対象項目に関する科学的な研究結果が一致しており、整合性が取れています.

摘要
勃起 小さい 研究結果を見る
ヨヒンビンの摂取によって、軽度の勃起の改善が見られました。陰茎組織を弛緩させ充血を促進するα-2-アドレナリン拮抗作用と勃起を増大させる血圧の上昇の組合わせによるものと考えられますが、血流不良に伴う勃起不全の改善には効果が無い可能性があります。
脂肪質量 中程度 研究結果を見る
ヨヒンビンの摂取によって脂肪量の顕著な減少が見られました。
アルコール依存 小さい 研究結果を見る
ヨヒンビンの注射によってアルコールへの欲求の増加が見られました。経口摂取ではこのような作用は見られませんでした。
不安 小さい 中程度 2件の研究結果を見る
相反する研究がありますが、ヨヒンビンの摂取後に不安が増加することがあるようです。
血圧 小さい 非常に高い 2件の研究結果を見る
血圧が上昇し、勃起不全の改善に貢献するようですが、急激に増加する可能性があるため、心臓や血管へのリスクを伴います。
コルチゾール 小さい 非常に高い 2件の研究結果を見る
摂取後にコルチゾールを増加させるようです。
利尿 小さい 研究結果を見る
ヨヒンビンの補給によって排尿量の増加が見られましたが。
心拍数 小さい 非常に高い 2件の研究結果を見る
刺激性を持つためヨヒンビンの摂取後に心拍数の増加が起こることが示されています。
恐怖症の症状 小さい 中程度 2件の研究結果を見る
ノルアドレナリン放出によってストレス反応に対する感度を下げて恐怖症の症状を減少させると考えられていますが、その効能に関する研究結果は相反しています。
リーンマス 研究結果を見る
ヨヒンビンの補給による除脂肪体重に有意な影響は見られませんでした。
血漿メラトニン 研究結果を見る
体内からのメラトニンの排出量は上昇するようですが、血漿メラトニン濃度に有意な影響はないようです。
筋力 研究結果を見る
ヨヒンビンの補給による筋力への有意な影響は見られませんでした。
胃排出率 研究結果を見る
ヨヒンビンの補給による胃排出率への有意な影響は見られませんでした。
脳血流 小さい 研究結果を見る
脳血流の減少がみられましたが、認知機能への影響は無いようです。
ペニスの胴囲 小さい 研究結果を見る
L-Dopaのように陰茎胴囲の増加する可能性が示唆されています。しかし、それほど顕著な増加ではなく、調査対象者の中で反応があった者のみを比較することで有意に増加を検出することが可能でした。
起立性低血圧の症状 小さい 研究結果を見る
直立性低血圧(急に立ち上がる際の軽度の頭痛)は、ヨヒンビンの服用で症状が軽減するようです。
テストステロン 研究結果を見る
ヨヒンビンの補給によるテストステロンへの有意な影響は見られませんでした。

副作用

副作用と安全性

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ヨヒンベの経口摂取は安全ではない可能性があります。ヨヒンベの服用による、不整脈・頻脈、腎不全、発作、心臓発作などの重篤な副作用の報告があります。
ヨヒンベの主な有効成分はヨヒンビンです。日本や北米では処方薬とされています。この薬は医療従事者の監督の下で短期間適切に使用した場合安全とされています。
子供のヨヒンベの服用は避けるべきです。子供はヨヒンベの有害な影響に対して敏感であることが示唆されているため、子供にとっては安全ではありません。
一般的な用量で経口服用した場合でも、胃の不調、興奮、振戦、睡眠の問題、不安や激越、高血圧、急激な心拍、めまい、胃の問題、うずき、副鼻腔痛、過敏性、頭痛頻繁な排尿、膨満感、発疹、吐き気、嘔吐、アレルギー、発熱、寒気、かゆみ、鱗状皮膚、進行性腎不全、ループス、自己免疫疾患などの副作用のリスクがあります。

注意と警告

妊娠・授乳中: ヨヒンベは安全でない可能性が高いです。 ヨヒンベは子宮に影響を与え、妊娠時のリスクを増大する可能性があります。 また、胎児に対する毒性を持つ可能性があります。妊娠・授乳中の方は、ヨヒンベを飲まないでください。

出血性障害: ヨヒンベを服用すると、出血性疾患の人の出血のリスクが増大する可能性があります。
統合失調症:ヨヒンベは慎重に使用してください。ヨヒンビンは精神分裂病患者を悪化させる可能性があります。

前立腺の問題:ヨヒンベは慎重に使用してください。BPH(良性前立腺過形成)の症状を悪化させる可能性があります。

心的外傷後ストレス障害(PTSD):ヨヒンベを使用しないでください。ヨヒンベの使用後、PTSD患者4人の症状が悪化したという報告があります。

肝疾患:ヨヒンベを使用しないでください。肝臓の病気は、体がヨヒンベを処理する方法を変更する可能性があります。

腎疾患:ヨヒンベを使用しないでください。ヨヒンビンは尿の流れを遅くしたり止めたりする可能性があります。

高血圧または低血圧:ヨヒンベを使用しないでください。少量のヨヒンビンは血圧を上げる可能性があります。高用量の場合は極度の低血圧を起こす可能性があります。

胸痛または心臓病:ヨヒンベを使用しないでください。ヨヒンビンは心臓に深刻な影響を与える可能性があります。

不安:ヨヒンベを使用しないでください。ヨヒンビンは不安を悪化させる可能性があります。

うつ病:ヨヒンベを使用しないでください。ヨヒンビンはうつ病患者の双極性うつ病または自殺傾向を持つ人の躁様症状を引き起こす可能性があります。

糖尿病:ヨヒンベは使用しないでください。インスリンや糖尿病に使われる薬の有効性を低下させる可能性があります。

外科手術:ヨヒンベは出血のリスクを高める可能性があります。ヨヒンベを飲む人は、手術の少なくとも2週間前に中止する必要があります.

注意事項

相互作用

強い相互作用

下記の組み合わせを避けてください。

  • 抗うつ薬 (MAOIs) ヨヒンベには体に影響を与える化学物質が含まれています。 この化学物質はヨヒンビンと呼ばれています。 ヨヒンビンはMAOIと呼ばれるうつ病の治療薬と同じように身体に影響を与える可能性があります。これらの薬物の中には、フェネルジン、トラニルシプロミンなどがありますが、これらの薬剤はMAOIと一緒にヨヒンベと併用すると効果や副作用が強化される可能性があります。

中程度の相互作用

下記の組み合わせに注意してください。

  • クロニジンクロニジンは、血圧を下げるために使用されています。 ヨヒンベは血圧を高める可能性があります。 ヨヒンベとクロニジンを併用すると、クロニジンの有効性が低下する可能性があります。
  • グアナベンズヨヒンベにはヨヒンビンが含まれています。 ヨハンビンはグアナベンツの有効性を低下させる可能性があります。
  • 抗うつ薬 (三環系抗うつ薬)ヨヒンベは心臓に影響を与える可能性があります。 三環系抗うつ薬と呼ばれるうつ病に使用される薬も心臓に影響を与える可能性があります。 組合せて服用すると心臓の問題を引き起こす可能性があります。 うつ病に使用される三環系抗うつ薬には、アミトリプチリン、イミプラミンなどがあります。
  • 降圧剤ヨヒンベの低用量での服用は血圧を上げるようです。高血圧治療薬の中には、カプトプリル、エナラプリル、ロサルタン、ジルチアゼム、アムロジピン、ヒドロクロロチアジド、フロセミドなどがあり、組合わせて使用すると高血圧治療薬の有効性が低下する可能性があります。
  • ナロキソンヨヒンベに含まれるヨヒンビンは脳に影響を及ぼす可能性があります。ナロキソンも脳に影響を与えます。 ナロキソンとヨヒンビンを併用すると、不安、緊張感、震え、まぶしさなどの副作用が出る可能性があります。
  • フェノチアジンヨヒンベにはヨヒンビンと呼ばれる化学物質が含まれています。 フェノチアジンは、ヨヒンビンの効果や副作用を強化する可能性があります。フェノチアジンにはクロルプロマジン、フルフェナジン、トリフルオペラジン、チオリダジンなどがあります。
  • 精神刺激薬覚醒剤は神経系を活性化します。 神経系が活性化すると、気分の悪化や、心拍の上昇などがおこります。 ヨヒンベは神経系を活性化する可能性があります。 ヨヒンベと覚醒剤を併用すると心拍数の上昇や高血圧などの重大な問題を引き起こす可能性があります。 刺激薬には、ジエチルプロピオン、エピネフリン、フェンテルミン、プソイドエフェドリンなどがあります。

その他の名称

  • ヨヒンベ、コリャンテエヨヒンベ、ヨヒンベ樹皮、ポウシニスタリアヨヒンベ

注意点

  • ヨヒンベは強い刺激性があります。
  • ヨヒンビンは神経薬と相互作用する可能性が高いです。
  • ヨヒンビンを含む多くのサプリメントは含有量を記載していかったり含有量が不正確な場合があります。

分類カテゴリー

良い組み合わせ

確認事項

服用方法

推奨用量、有効量、その他の詳細

体重あたり0.2mg/kgの服用量(68kgの人で14 mg)で、心拍数や血圧などの心血管パラメータに有意な影響を与えずに、脂肪燃焼を増加させられるようです。

食間や空腹時での補給が最も効果的です。ヨヒンビンを高用量で服用すると心血管系に副作用が起こる可能性が報告されているため注意が必要です。初めてヨヒンビンを補給する場合は半分の用量で服用を開始し、副作用が出ないことを確認してから必要に応じて用量を増やすようにしてください。海外で販売されているサプリメントにはヨヒンビンの含有量が記載されていなかたり、実際の用量と異なる場合があるため注意が必要です。

科学的な研究では下記の用量での服用が行われました。

経口摂取:

  • 性機能低下症:ヨヒンベの有効成分のヨヒンビンを1日15-30mg。 研究では1日最大100mgのヨヒンビンが服用されましたが、このような高用量では死亡のリスクを含む深刻な副作用が予想されます。

科学的根拠・参考文献