ムクナ(ハッショウマメ、ベルベットビーン)[Mucuna Pruriens]は、熱帯地方に育つ植物で古くからアーユルヴェーダで使用されてきました。L-DOPAというドーパミンの前駆体を豊富に含んでおり、高プロラクチン血症、パーキンソン病、男性不妊の改善、ストレスの緩和への効果が示唆されていますが、これらの有効性に関する科学的なエビデンスは十分ではありません。また、数多くの副作用や相互作用を持つため注意が必要です。

概要

重要な効果・情報

ムクナ(ハッショウマメ、ベルベットビーン)[Mucuna Pruriens]は豆を持つ植物です。インドやバハマなどの熱帯地方で見られ、豆、種子、さやの毛は薬を作るために使用されます。
ムクナは古くからアーユルヴェーダ医学でパーキンソン病の治療に使われてきました。今日でも、ムクナは、パーキンソン病の治療に使用される他、不安の減少や、男性不妊の改善に対する効果が示唆されています。

その他にも、関節炎、虫感染、高プロラクチン血症、痛みや発熱の軽減、嘔吐の誘発、蛇やサソリによる傷の治療、筋肉痛、血流の改善などに使用される例がありますが、このような効果に科学的な裏付けはありません。

ムクナは、パーキンソン病の治療に使用されるレボドパ(L-dopa)という成分を含み、 L-dopaは脳でドーパミンに変化します。パーキンソン病の症状は、脳内のドーパミン濃度が低いために発生するため、ドーパミンの濃度を上げることで改善されますが。残念なことに、大部分のL-dopaは別の成分(カルビドーパ)と一緒に使用しない限り、脳に到達する前に体内で分解されてしまいます。このような化学物質はムクナには含まれていないため、単独で服用してもパーキンソン病の改善には効果が無いようです。

適応・効果

適応情報

エビデンス不足

 

効果まとめ

効果まとめ表

 

効果まとめ表は動物や試験管内の実験ではなく、経口服用による人体での反応を科学的に研究したデータを基にどのような効果がどの程度あるのかをまとめたものです。

 

レベル 研究の質と量

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信頼性の高い研究データの量. 信頼性の高いデータが多ければ多いほど研究結果の信頼性が高くなります.

二重盲検臨床試験が繰り返し行われ確実性の高い研究が実施されています。
2つ以上のプラセボ効果を排除した二重盲検試験を含む複数の研究が実施されています。
二重盲検試験が1件または複数コホート試験が実施されています。
上記に満たない研究内容または観察研究のみが報告されています。
研究の質と量

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信頼性の高い研究データの量. 信頼性の高いデータが多ければ多いほど研究結果の信頼性が高くなります.

研究対象 効果の大きさ

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それぞれの研究対象に対する効果の方向性と大きさ. 対象項目を増加させるもの、低下させるもの、作用しないものを示しています.

研究の整合性

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科学的な研究でも常に結果が一致するとは限りません. この評価が高いほど対象項目に関する科学的な研究結果が一致しており、整合性が取れています.

摘要
精液の質 小さい 非常に高い 3件の研究結果を見る
ムクナプルリエンヌ(Mucuna pruriens)を3ヶ月間の摂取によって精液の質と酸化パラメータの増加が示されました。視床下部-下垂体-精巣の軸が矯正されたことで起こったと考えられます。
パーキンソン病の症状 中程度 非常に高い 3件の研究結果を見る
L-DOPAを含有し、末梢ドーパミンデカルボキシラーゼの阻害に関連すると思われるパーキンソン病の症状の軽減がみられます。L-DOPAとカルビドーパの併用はパーキンソン病の症状を軽減する際の標準物質となっています。
アドレナリン 小さい 研究結果を見る
不妊症におけるアドレナリンの減少が、ムクナの摂取で正常化しました。
コルチゾール 小さい 研究結果を見る
慢性的にストレスを受けた男性がムクナを長期的に摂取すると、コルチゾール濃度を低下が見られました。
ドーパミン 小さい 研究結果を見る
不妊症におけるドーパミンの減少が、L-DOPAの摂取によって逆に増加しているようです。
ノルアドレナリン 小さい 研究結果を見る
不妊症におけるノルアドレナリンの減少が、ムクナの摂取で正常化しました。
プロラクチン 小さい 非常に高い 2件の研究結果を見る
ムクナまたはL-DOPAの摂取後にプロラクチンの減少が見られました。
精液の運動性 小さい 非常に高い 2件の研究結果を見る
ムクナ摂取後に精液の運動の増加が見られました。
主観的福利 小さい 研究結果を見る
コルチゾールの減少による主観的福利の増加が見られました。
テストステロン 小さい 非常に高い 2件の研究結果を見る
不妊男性にテストステロンの増加が見られました。テストステロンの増加が不妊ではない健康な男性でも起こるかは不明です。

 

副作用

副作用と安全性

ムクナの種子の粉末を最大20週間経口服用しても、ほとんどの人にとっては安全とされています。 一般的な副作用として、悪心、腹部膨満感があります。 一般的でない副作用として、頭痛、心拍の乱れ、錯乱、激越、幻覚、妄想、嘔吐、異常体動、不眠症などの可能性があります。

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ムクナ豆のさやの毛を経口摂取したり皮膚に塗布することは危険です。強い刺激作用があり、重度のかゆみ、灼熱感、腫脹を引き起こす可能性があります。

注意と警告

妊娠と授乳: 妊娠中や授乳中の安全性に関する信頼できる情報は十分ではありません。安全のため使用を控えましょう。

心臓および血管の疾患: ムクナにはレボドパ(L-ドーパ)が含まれるため、心血管疾患を持つ人は使用を避けるべきです。 Lドーパは、起立性低血圧、めまい、失神、不整脈を引き起こす可能性があります。

糖尿病: ムクナが血糖値を下げる可能性があるため、血糖値に注意してください。 糖尿病治療薬の用量を調整する必要があるかもしれません。

低血糖: ムクナは血糖値を下げ、低血糖を悪化させる可能性があるというエビデンスがいくつかあります。

肝疾患: ムクーナはレボドパ(L-dopa)を含み、肝臓の損傷を示す化学物質の血中濃度を上昇させ、肝臓病を悪化させる可能性があります。 肝疾患がある場合は、ムクナを使用しないでください。

皮膚癌(メラノーマ): 皮膚色素のメラニンを作るためにムクナのレボドパ(L-dopa)が使われる可能性があります。余分なメラニンがメラノーマを悪化させる可能性があります。 メラノーマの病歴や皮膚に異常がある場合は、ムクナを使用しないでください。

胃または腸の潰瘍(消化性潰瘍): レボドパ(L-dopa)が潰瘍患者の胃腸出血を引き起こす可能性があるという報告があります。 現時点では、ムクナによるこの問題はまだ報告されていません。

精神疾患: レボドパ(L-ドーパ)を含有しているため、ムクナは精神疾患を悪化させる可能性があります。

手術: ムクナは血糖値に影響を及ぼす可能性があるため、手術中や手術後の血糖のコントロールを妨げる恐れがあります。 予定されている手術の少なくとも2週間前に服用を中止してください。

注意事項

相互作用

強い相互作用

下記の組み合わせを避けてください。

  • 抗うつ薬 (MAOIs) ムクナには体を刺激する成分が含まれており、うつ病に使用される薬がこれらの成分を増加させ、頻脈、高血圧、発作、緊張など重度の副作用を引き起こす可能性があります。うつ病に使用されるこれらの薬には、フェネルジン、トラニルシプロミン、などが含まれます。
  • メチルドパムクナもメチルドパも血圧を下げる可能性があります。 うつ病に使用されるこれらの薬には、アミトリプチリン、イミプラミンなどがあります。

中程度の相互作用

下記の組み合わせに注意してください。

  • グアネチジンムクナもグアネチジンも血圧を下げる可能性があります。 ムクナとグアネチジンを併用すると、血圧が低くなりすぎる可能性があります。
  • 糖尿病治療薬ムクナも糖尿病薬も血糖を下げるために使用されます。 糖尿病治療薬とムクナを併用すると、血糖値が低下しすぎる可能性があります。 血糖値を注意深く監視してください。糖尿病治療薬の中には、グリメピリド、グリブリド、インスリン、ピオグリタゾン、ロシグリタゾン、クロルプロパミド 、グリピジド、トルブタミドなどがあります。
  • 抗精神病薬ムクナはドーパミンと呼ばれる脳内の化学物質を増やす可能性があり、抗精神病薬の作用を妨げる可能性があります。このような薬には、クロルプロマジン、クロザピン、フルフェナジン、ハロペリドール、ハロペリドール、ペルフェナジン、プロクロルペラジン、クエチアピン、リスペリドン、チオリダジン、チオチキセン
  • 麻酔薬ムクナにはL-ドーパ(レボドパ)と呼ばれる化学物質が含まれています。 手術のために使用される薬物とLドーパを併用すると、心臓の問題を引き起こす可能性があります。 手術前に医師と相談し、手術の少なくとも2週間前には服用を中止するべきです。
  • 抗うつ薬 (三環系抗うつ薬) うつ病に使用されるいくつかの薬には、胃や腸の機能を低下させる可能性があり、ムクナの吸収が低下し、効果も低下する可能性があります。

その他の名称

  • ムクナ・プリエンス(Mucuna Pruriens)、ハッショウマメ、ベルベットビーン(Velvet Bean)、コウィッチ(Cowitch)、ウェレペ(Werepe)、カララ(Karara)、アグバラ(Agbara)

混同しやすいもの

  • レボドパ(有効成分)

分類カテゴリー

確認事項

  • ムクナにはL-DOPA (レボドパ)が含まれています。ドーパミン前駆体で、パーキンソン病を治療するための薬としてカルビドーパという化合物と一緒に使用されます。
  • 効果副作用.com 免責事項

服用方法

推奨用量、有効量、その他の詳細

5μgのムクナの乾燥粉末の服用は、パーキンソン病治療および妊孕性の改善を調べた人間での研究において有効性が示されています。この服用量が最初に試して見る上で十分な用量かもしれません。通常、ムクナのサプリメントはL-DOPAの含有量で標準化されており、L-DOPAに起因する効果を目的として補給する場合は、ムクナに含まれるL-Dopaは単離されたものよりも生理活性が高いため、L-DOPAの服用目安の約1/2で試してみて、様子を見ながら調整してください。ムクナは食品として食べられますが、トリプシン阻害作用を無効化し、タンパク質の吸収が阻害されないように調理が必要ですが、調理によってL-DOPAも破壊されます。サプリメントの中には、ムクナの葉を使用しているものがありますが、ムクナの豆や根と比べて含まれる栄養が異なるため注意が必要です。

科学的根拠・参考文献