胡黄連(コオウレン[Picrorhiza kurroa]、クトゥキ[Kutki]またはピクロリブ[Picroliv])は、アーユルヴェーダの肝臓薬で、低用量での使用で、オオアザミよりも効果が高い可能性があります。さらなる研究が必要ですが、肝臓の保護作用に加えて、免疫の調節作用が示唆されています。

概要

重要な効果・情報

胡黄連(コオウレン、クトゥキ、クタキ、Picrorhiza kurroa)はヒマラヤの山で生育する植物です。アーユルヴェーダの医薬品として、根や地下茎が使用されます。胡黄連は乱獲により絶滅が危惧されています。

胡黄連は黄疸、ウイルス(急性ウイルス性肝炎)、発熱、アレルギー、喘息による肝炎、湿疹や白斑を含む皮膚症状の治療に使用されます。消化不良、便秘、進行中の下痢など消化器系の症状に使用する人もいます。その他にも、感染症、サソリの傷、てんかん、マラリア、関節リウマチの治療に使用する人もいます。

研究が不足していますが、胡黄連は免疫系を刺激し、腫瘍細胞を殺し、炎症を抑える化合物を含有している可能性があります。

キトキン分子によって、毒素を摂取される前または同時に摂取することで、肝臓を保護することが示唆されています。このような保護効果は、内因性肝臓機能不全(高脂肪食によるウイルス性肝炎や/非アルコール性脂肪性肝疾患など様々な毒素やストレッサーに及び、肝臓を保護すると考えられています。アセトアミノフェン、アルコール 、タマゴテングタケに対して非常に顕著な保護効果があり、シリマリン(オオアザミの活性成分)よりも強力な効能を持つ可能性があります。

動物での研究はある程度存在しますが、人での研究が非常に限られており、唯一のサプリメント(25mg)を非常に低用量で服用した研究があり、ウイルス性肝炎に効果がみられましたが。このような肝臓の保護効果を確認するためには、ヒトでの再現実験が必要であり、それ以外にも有望な効果が示唆されているため、その他の効果についてもさらなる研究が必要です。

適応・効果

適応情報

有効性の信頼度(中)

  • 白斑: 白斑は、白い斑点が皮膚に発生する障害です。 1年間コオウレンを経口摂取し、メトキサレンを経口服用し患部に塗布することで、成人及び子供の白斑の治療に効果が示されました。

効果がない可能性(中)

  • 喘息:  最大12週間のコオウレンの経口服用は、喘息の症状を改善したり、肺機能を改善しないようです。

エビデンス不足

  • 急性ウイルス性肝炎: 初期の研究は、急性ウイルス性肝炎の人の食欲不振、吐き気、一般的な不快感などの症状を緩和する可能性があることを示唆しています。
  • 関節リウマチ
  • その他の症状

効果まとめ

効果まとめ表

効果まとめ表は動物や試験管内の実験ではなく、経口服用による人体での反応を科学的に研究したデータを基にどのような効果がどの程度あるのかをまとめたものです。

 

レベル 研究の質と量

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信頼性の高い研究データの量. 信頼性の高いデータが多ければ多いほど研究結果の信頼性が高くなります.

二重盲検臨床試験が繰り返し行われ確実性の高い研究が実施されています。
2つ以上のプラセボ効果を排除した二重盲検試験を含む複数の研究が実施されています。
二重盲検試験が1件または複数コホート試験が実施されています。
上記に満たない研究内容または観察研究のみが報告されています。
研究の質と量

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信頼性の高い研究データの量. 信頼性の高いデータが多ければ多いほど研究結果の信頼性が高くなります.

研究対象 効果の大きさ

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それぞれの研究対象に対する効果の方向性と大きさ. 対象項目を増加させるもの、低下させるもの、作用しないものを示しています.

研究の整合性

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科学的な研究でも常に結果が一致するとは限りません. この評価が高いほど対象項目に関する科学的な研究結果が一致しており、整合性が取れています.

摘要
白斑の症状 中程度 研究結果を見る
白斑の治療に胡黄連を用いた1つの研究では、使用後に被験者の27%が完全な症状の改善(治癒)しました。
ビリルビン 小さい 研究結果を見る
胡黄連の補給は、急性ウイルス性肝炎の指標となるビリルビンの数値を減少させますが、他の参照薬物との比較はまだなされていません。
肝酵素 小さい 研究結果を見る
胡黄連の補給は急性ウイルス性肝炎における循環肝酵素を減少させました。動物の研究ではオオアザミよりも強力であることが示唆されていますが、ヒトのエビデンスで直接の比較はまだなされていません。

 

副作用

胡黄連の1年以内の服用は、ほとんどの人にとって安全とされています。 副作用として、嘔吐、発疹、食欲不振、下痢、かゆみなどが起きる可能性があります。

注意点:

妊娠と授乳: 妊娠中や授乳中の場合、胡黄連の服用の安全性に関する十分な信頼性の高い情報はありません。 安全のため使用を控えましょう。

“多発性硬化症(MS)、狼瘡(全身性エリテマトーデス、SLE)、関節リウマチ(RA)などの「自己免疫疾患」: 胡黄連は、免疫系をより活性化させる可能性があり、自己免疫疾患の症状を増加させる可能性があります。 これらの症状がある場合は、使用を避けましょう。

糖尿病: コオウレンは血糖値を下げる可能性があります。 低血糖の徴候や糖尿病薬を使用している場合は血糖値を慎重に監視して使用して下さい。

手術: コオウレンは血糖値を低下させる可能性があります。 理論的には、コオウレンは、外科手術中や手術後に血糖のコントロールの妨げになる可能性があります。 手術の予定の少なくとも2週間前にはコオウレンの使用を中止して下さい。

注意事項

相互作用

中程度の相互作用

下記の組み合わせに注意してください。

  • 免疫抑制剤コオウレンは免疫系を増強して、免疫抑制剤と相互作用する可能性があります。 免疫系を低下させる薬剤には、アザチオプリン、バシリキシマブ、シクロスポリン、ダクリズマブ、ミコフェノール酸、タクロリムス、シロリムス、プレドニゾン、コルチコステロイドなどが含まれるが、これらに限定されない。

その他の名称

  • クトゥキ(Kutki)、カタキ(Katuki)、クトキン(Kutkin)、Picrorhiza kurroa、Picrorhiza scrophulariiflora、Kurro、ピクロール(Picrol)

注意点

  • コオウレン(picrorhiza kurroa)は、急激に人気が高まり、規制されていないまま持続不可能な乱獲が行われたため、絶滅の恐れがあります。持続可能な取り組みで収穫を行っている生産者・メーカーから購入をおすすめします。

分類カテゴリー

確認事項

服用方法

推奨用量、有効量、その他の詳細

予備的な研究では、ピクロリブ(picroside I + picroside II)の補給は、12mg/kgで最も効果的であることがしさされており、24mg/kgの高用量でも12mg/kgより有意に有効ではありませんでした。これは人間に換算すると、68kgの人の場合、130 mgとなります。

上記の投与量が最も有効と考えられていますが、低用量も有効であり、人間の研究では合計約25mgのピクロリブ(picroside I + picroside II)を使用しました。

コオウレンの抽出物を使用する場合、上記の投与量は、植物そのものの重量ではなく、ピクロリブ(picroside I + picroside II)の総量を指します。例として、4%ピクロリブを含む1,000mgの植物抽出物は、40mgピクロリブを含んでいます。

また、白斑を治療した検査では、200mgのコオウレンの粉末を1日2回、メトキサレンの経口服用と患部への塗布と併せて、経口服用されました。

科学的根拠・参考文献