ナギイカダ は海外ではブッチャーズ・ブルーム(Butcher’s Broom)として一般的に知られているハーブで、伝統的に血液循環の改善に使用されており、静脈を収縮させることで血流を改善することが示唆されています。単体でのエビデンスは限られていますが、体内の血液貯留によるむくみを減少させることが示唆されています。

概要

重要な効果・情報

ナギイカダは、伝統的に薬として使用されてきた植物で、静脈を収縮させることで血流を改善すると考えられています。ナギイカダは、痔、胆石、動脈硬化(アテローム動脈硬化症)、痛み、脚のけいれん、静脈瘤、かゆみ、むくみ、などの血液循環不良による症状のために使用されたり、下剤として、尿の排出量を増やし、腫れやむくみを軽減し、骨折の治癒を速める利尿剤としても使用されています。耳鳴りを改善するためのサプリメントとしてナギイカダの抽出物が販売されていますが、耳鳴りの治療法として血管の状態が原因の場合その改善のためにナギイカダが有効である可能性はありますが、耳鳴りの改善にナギイカダの経口摂取が有効であるという科学的なエビデンスはありません。ナギイカダには様々なサポニン構造が含まれていますが、そのうちのどの成分が有効ななのかは完全に解明されていませんが、ruscogeninとneoruscogeninとして知られているサポニンが重要な役割を果たしているのではないかと考えられています。これらはナギイカダの垂直根(根茎)に高レベルで含まれており、これらの成分がサプリメントとして補給するための標準的な指標とされる傾向があります。ナギイカダの作用として、アルファ受容体を介して静脈と接触するシナプスでノルアドレナリンの活性を増加させるようです。ナギイカダをむサプリメントについての研究では血管に作用するサプリに添加されるヘスペリジンメチルカルコンを混ぜて行われたものが大量にありますが、ナギイカダ単体での研究は2件しかないため、人間での単体の効果に関するエビデンスは限られています。多くの調査では、伝統的な使用法を基にして研究しているようです。エビデンスが限られているため、有効性や安全性についても信頼できる情報が不十分です。

適応・効果

適応情報

有効性の信頼度(中)
  • 循環障害慢性静脈機能不全症) いくつかの研究は、単独、またはビタミンCとヘスペリジンとの組み合わせて、ナギイカダを摂取すると、痛み、けいれん、かゆみ、腫脹などの脚の循環不良の症状を緩和することが示唆されています。
エビデンス不足
  • 糖尿病に起因する視力の問題(糖尿病性網膜症: 初期の研究では、ナギイカダの抽出物(Fagorutin-Ruscus、Fink GmbH)を3ヶ月間経口摂取しても、糖尿病性網膜症の人々の視力は改善されないことが示唆されています。
  • 腕の腫れ(リンパ浮腫: 初期の研究では、ナギイカダの根の抽出物、ヘスペリジンメチルカルコン、およびビタミンCを含有する特定の製品(Cyclo 3 Fort)を90日間経口摂取すると、乳癌治療後の腕の上腕および前腕の腫脹を減少させ、腫れた腕の可動域および重さが改善されることが示唆されています 。
  • 起立性低血圧症: いくつかの研究では、ナギイカダを経口摂取することで、起立性低血圧症を緩和できる可能性があることが示唆されています。
  • 耳鳴症: 耳鳴りの改善に効果があるとして販売されているサプリメントがありますが、科学的なエビデンスはありません。
  • 便秘症
  • 痔核
  • 体液貯留
  • 骨折
  • 循環器疾患
  • その他の条件

効果まとめ

効果まとめ表

効果まとめ表は動物や試験管内の実験ではなく、経口服用による人体での反応を科学的に研究したデータを基にどのような効果がどの程度あるのかをまとめたものです。

 

レベル 研究の質と量

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信頼性の高い研究データの量. 信頼性の高いデータが多ければ多いほど研究結果の信頼性が高くなります.

二重盲検臨床試験が繰り返し行われ確実性の高い研究が実施されています。
2つ以上のプラセボ効果を排除した二重盲検試験を含む複数の研究が実施されています。
二重盲検試験が1件または複数コホート試験が実施されています。
上記に満たない研究内容または観察研究のみが報告されています。
研究の質と量

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信頼性の高い研究データの量. 信頼性の高いデータが多ければ多いほど研究結果の信頼性が高くなります.

研究対象 効果の大きさ

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それぞれの研究対象に対する効果の方向性と大きさ. 対象項目を増加させるもの、低下させるもの、作用しないものを示しています.

研究の整合性

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科学的な研究でも常に結果が一致するとは限りません. この評価が高いほど対象項目に関する科学的な研究結果が一致しており、整合性が取れています.

摘要
慢性静脈不全 小さい 研究結果を見る
ナギイカダは、慢性静脈不全の治療のためにプラセボより有効なことが示唆されていますが、他の治療と比較した効能の大きさは不明です。
脚の腫れ 小さい 研究結果を見る
ナギイカダは、脚の腫脹および浮腫(大腿および足首)を軽減することが示唆されています。
主観的福利 研究結果を見る
患者の慢性静脈不全の症状は改善したにもかかわらず、ナギイカダの補充療法はプラセボと比較して生活の質の向上にはつながりませんでした。
HDL-C 中程度 研究結果を見る
ナギイカダを用いた唯一の研究では、プラセボとの比較はされていませんが、HDL-Cが23%と顕著な増加がみられましたが、効果を確認するにはプラセボと比較した再現実験が必要です。
HbA1c 中程度 研究結果を見る
HbA1cが15.6%と顕著な減少が見られましたが、効果を確認するにはプラセボと比較した再現実験が必要です。
血糖値 小さい 研究結果を見る
ナギイカダの補充によるII型糖尿病患者の血糖値が10.2%の減少が見られましたが、効果を確認するにはプラセボと比較した再現実験が必要です。
フルクトサミン 小さい 研究結果を見る
ナギイカダの補充による糖尿病患者のフルクトサミンの7.8%の減少が認められましたが、効果を確認するにはプラセボと比較した再現実験が必要です。
総コレステロール 小さい 研究結果を見る
ナギイカダの補給による糖尿病患者のHDL-Cの増加とともに総コレステロールの9.4%の減少が見られましたが、効果を確認するにはプラセボと比較した再現実験が必要です
トリグリセリド 研究結果を見る
ナギイカダの補給による糖尿病患者の循環中性脂肪への有意な影響は見られませんでした。
視力 研究結果を見る
ナギイカダの補給による糖尿病性網膜症患者の視力の改善に有意な影響は見られませんでした。

 

副作用

ナギイカダの補給はほとんどの人にとって三ヶ月以内であればおそらく安全と考えられています。副作用として胃のむかつきや吐き気などが起こる可能性があります。

特別な注意と警告:
妊娠と授乳:妊娠している場合や授乳中の場合のナギイカダの摂取の安全性に関する信頼できる情報は十分ではありません。 安全のため、使用を控えましょう。

注意事項

相互作用

中程度の相互作用

下記の相互作用が懸念されていますので、ご注意ください。

  • 高血圧に使用される薬物(アルファ – アドレナリン作動性拮抗薬)ナギイカダは、神経系を活性化し、血圧を上昇させ、心拍数を上昇させる可能性があります。ナギイカダは高血圧に使用されるドキサゾシンやテラゾシンなどの薬物の有効性を低下させる可能性があります。
  • 精神刺激薬(アルファ – アドレナリン作動薬)ナギイカダは、神経系を活性化し、血圧を上昇させ、心拍数を上昇させる可能性があります。精神刺激薬も、同様の作用を起こす可能性があり。あわせて服用すると、作用が強すぎる可能性があります。このような精神刺激薬には、シュードエフェドリン、エフェドリン、フェニルプロパノールアミンなどがあります。

その他の名称

  • ブッチャーズ・ブルーム、ユダヤ教のマートル、ニー・ホーリー、ニーホルム、ペティグリー、スウィート・ブルーム

確認事項

  • 薬物 – 薬物相互作用のデータが不十分な可能性があります。不明の点は医師と相談してください。
  • 効果副作用.com 免責事項

服用方法

推奨用量、有効量、その他の詳細

ナギイカダの補充は、根茎(地上の垂直根)を使用する傾向があり、主な生物活性物質のruscogeninsを濃縮するために、10倍(10:1)から20倍(20:1)の濃度で使用されているようです。このような抽出濃度で、37.5mgの用量を毎日2回摂取して1日当たり75mgとしているようです。根茎の未抽出乾燥重量で約750〜1,500mgに相当します。空腹時または食事中に摂取する方が良いかどうかを示唆するエビデンスは十分ではなく、上記の投薬で効果が報告されている一方で、これが最適な投薬量であるかどうかを示すエビデンスも十分ではありません。

単体ではなく組み合わせでの循環障害(慢性静脈不全)の効果を示唆した研究での摂取の方法として、150mgの根の抽出物を150mgのヘスペリジンと100mgのアスコルビン酸を1日2回補給しています。

 

科学的根拠・参考文献